はじめに
弊社GeekBeerは、低アルコールビールを専門に製造する飲料メーカーです。 今回、ノンアルコール飲料として注目されている「ホップ水(Hop Water)」の試作醸造に挑戦しましたので、その詳細なプロセスと結果を記事にしようと思います。
ホップ水は、アルコール発酵を行わず、ホップの風味と香りを水に抽出したノンアルコール飲料です。 クラフトビールの風味を楽しみたいが、アルコールは摂取したくないという方におすすめになるかもしれないドリンクです。

レシピ設計
レシピの方向性です。出来上がり量は2Lになります。 今回は初めての試作なので、シンプルなレシピで基本を押さえることを目指しました。 ホップの種類は、ケントゴールディングを使用しました。
- 水:2L
- 普通の水道水です。煮沸して塩素を飛ばすと痛みやすいので、そのまま。
- ホップ:
- ケントゴールディング 10g
- 炭酸ガス:DrinkMateで強制カーボネーション
なお、ホップは低アルコールダークエールで漬けていたものを再利用しました。 前回の実験仕込みで、諸事情あってドライホッピングを早めに切り上げてしまったため、まだ香りが残っていると思った次第です。

低アルコールダークエールの醸造記事はこちらからご覧いただけます:
醸造プロセス
仕込み手順は以下の通りです。
Day 1: 仕込み
- 容器を熱湯消毒(沸騰させた湯をかけて冷ます)
- 水道水2Lを容器に入れる
- ホップ袋を投入
- 容器の蓋を閉め、冷蔵庫で保管(4-6℃)
Day 2: 試飲
- 冷蔵庫で静置していると、ホップ成分はうまく攪拌されず、沈殿します。
- 飲む直前で菜箸で軽く攪拌しました。
なお、若干色味がついていますが、こちらはダークエールに漬けていたホップを使用したためです。 おそらくホップのみつける場合は、ほとんど色はつかないと思います。 飲み物にとって色味は結構重要なので、色味の工夫余地はありそうです。
味わいの感想
さて、飲んでみた感想は以下の通りです。
- 炭酸なし:飲めたものじゃない。まずい。 信じられないくらいまずい。
- 炭酸あり:これは結構いける。ホップを感じ取れる。炭酸があることで、嫌な苦味じゃなくなったかも?
- 炭酸あり+加糖:砂糖小さじ一杯を追加。かなり飲みやすくなった。砂糖の甘みがボディになるので、ホップの香りも引き立つ。
- ノンアルコールビール感がある。大手のノンアルビールって結局こんな感じなのかも、と想像した。
上記の差分とは別に共通する印象としては、
- ホップの青臭さが目立つ
- えぐみ?のような苦味があるかも
- 砂糖を入れると、えぐみが隠れる気がする
という感じでした。

発見した課題
- 抽出時間: 比較的短時間のドライホッピング、かつ出涸らしのホップを使用したが、十分に香りがついた。
- ホップの量: 適量。 Amarilloがいいらしいので、次回試してみたい。
- 炭酸の重要性: 炭酸がないと非常にまずい。炭酸は必須。
- 甘みの必要性: 甘みがあると飲みやすい。砂糖以外にも、ステビアや蜂蜜なども試してみたい。
- 保存性: アルコールがないため、保存期間が短い(1週間程度)かも。phを下げるなどの対策が必要。
- pH調整: 今回はなにもしていないが、炭酸添加である程度おぎなえているかも。
改善案
次回の醸造では以下の改善を試してみたいと思います:
- ホップの種類を変えて複数パターン試作
- ハーブやフルーツの追加(レモングラス、グレープフルーツなど)
- 水を磨く(硫酸カルシウムや塩化カルシウムの添加)
まとめ
今回のホップ水の試作醸造は、アルコール発酵を行わないため失敗のリスクが少なく、初心者の方にもおすすめできる内容です。 (製品にするには加熱工程がないため、ケグ輸送はかなり慎重にやる必要がありますが…)
今後も様々なホップの組み合わせやフレーバーの追加など、改良を重ねていきたいと思います。
ノンアルコール・低アルコールビールの醸造に興味がある方は、以下の記事も参考にしてみてください。
それでは、楽しい醸造ライフを! 乾杯!