はじめに
弊社GeekBeerは、低アルコールビールを専門に製造する飲料メーカーです。 今回、低アルコールビールの試作品を醸造しましたので、その詳細なプロセスと結果を共有します。

レシピ設計
レシピの方向性です。出来上がり量は4Lぐらいになります。 低アルコールあるあるですが、ボディが薄いという問題がよく言及されると思います。 そのため、重たいビールの代表格であるダークエールをベースに選んでみました。 ビールキットを使用したので、ミネラルの添加とかは行っていません。…たぶんビールキットが最適化されているはず。
- 水:5L
- ドライホッピングで澱が出ることを考慮して多めに用意。
- ベースモルト:Morgans Dark Ale 250g
- 自宅にマッシング機材がないため、ビールキットを使用しました。
- ホップ:East Kent Goldings 10g(ドライホッピング用)
- 炭酸ガス:DrinkMateで強制カーボネーションしました。
- 酵母:LA-01 4g

醸造プロセス
仕込み手順はだいたい以下の通りです。
Day 0: 仕込み
- 鍋を熱湯消毒(沸騰させて冷ます)
- Morgans Dark Ale 250gを温水で溶かす
- 水を足して合計5リットルに
- 20-25℃まで冷却
- LA-01酵母を投入
- 清潔な布またはラップで覆う(輪ゴムで固定)
- 発酵場所に設置

Day 1-7: 発酵前期
毎日1回様子を見る(覗くだけ、触らない)。 泡が立っているか確認。 表面に膜や変色がないか確認。
Day 8: ドライホッピング
- ラップを外す(素早く)
- 消毒済みの袋に入れたKent Golding 7-10gを投入
- すぐに覆い直す

残念ながら今回はドライホッピング2日目にしてカビのような浮遊物が見られたので、予定より早めにドライホッピングを切り上げました。 製品にする場合は、対策が必要ですね。低アルコール醸造にオープンファーメンターは厳しいかもしれません。 とはいえ、今回はホームブリューで自分しか飲まないので、浮遊物を掬って分離して完成としました。

Day 9: ボトリング
空きペットボトルに詰めて、冷蔵庫にいったん保管。 ある程度冷えたら、飲む分だけDrinkMateのボトルに詰めて炭酸注入しました。

課題と対応
まずは味の感想ですが、…んービールかと言われるとちょっと微妙?な気がする、といった感じです。 けっして不味くはないですが、なんか物足りない。 低アルビールでよく言われるのが、「酸味をつけるとよい」とか「甘みを足すとよい」といったアドバイスです。 場当たり的に、レモン果汁を少し足してみましたが、あまり効果は感じられずでした。 試飲した時のメモは以下の通りです。
- カビが生えてしまったのでドライホッピングを切り上げ。オープンファーメンターは流石に厳しいかも?
- 炭酸添加して試飲。んーボディがない…
- 醤油っぽい後味がある。コーヒーのような気もする。目隠しして飲むとビールとはいえない。
- 砂糖を入れて飲んでみたら多少はまし。
- レモン果汁を入れてみてもそこまで改善しない。
- 味の素は効果なし。
- 塩は…入れないほうがいい。
- 焼酎を入れてみたらまさにホッピーという感じ。
- ホップ味があまり感じられなかった。カビの影響で途中で切り上げた影響か、ドライホッピングが効いてないっぽい。
- とはいえ、ホップが効いたら美味しくなるかというとそれは微妙。ボディの薄さは解消しないでしょう。
と、課題満載に書いてしまいましたが、実は3日ぐらい経ってから飲んだら、コクが少し出てきてかなり印象が変わった気がします。 これが熟成?なのか、それとも単に慣れただけなのかは不明ですが、もう少し時間を置いてから再度評価してみたいと思います。
まとめ
今回の低アルコールビールの試作醸造は、多くの学びと発見がありました。 低アルコールの弱点である、ボディの薄さは黒ビールを使うことで多少改善されることが分かりました。 一方で、製品化を考えた場合には、カビの発生や味の調整など、解決すべき課題も多く残っています。 今後も改良を重ね、より美味しい低アルコールビールの開発に挑戦していきたいと思います。
低アルコールビールの醸造に興味がある方は、以下の記事も参考にしてみてください。
それでは、楽しい醸造ライフを! 乾杯!